諏訪湖漁業協同組合(藤森惠吉組合長)は24日、諏訪市渋崎の本所で開いた通常総代会で、今春のワカサギ採卵量が過去最少の約170万粒にとどまったことを明らかにした。2016年夏にワカサギ大量死が起きてから採卵不振が続いているが、今春は寒の戻りや大雨などの天候不順も影響。遡上する親魚の捕獲作業が2河川でしかできなかったことも響いたという。装置と大型水槽で産卵ふ化させる新方式を軌道に乗せて回復を図りたい考えだ。
ワカサギ採卵は漁協の主力事業で収入の柱。例年だと3~5億粒を確保し、全国の湖沼にも出荷する。藤森組合長は今春の採卵を砥川、半の木川(宮川)の流入2河川で行ったものの、「降雨と濁流の発生が多く、半の木川では採卵量がほぼゼロだった」と報告。気候変動や湖内生息環境の悪化による漁獲・採卵不振に危機感を募らせた。
総代会では第76期(23年2月~24年1月)決算など9議案を原案通り承認した。昨春のワカサギ採卵量も約5000万粒と低迷し、卵出荷を断念。親魚保護に向けてワカサギ投網漁を11月末で打ち切ったこともあり、約250万円の当期純損益を計上した。ただ、新型コロナの落ち着きで遊漁収入が上向き、前期の赤字からは縮小したという。
新たなふ化方式は今春から導入。捕獲した雄、雌を生きたまま大型水槽に入れて自然に産卵を促し、受精卵の粘着を除去してから透明の筒が付いた装置に投入してふ化まで管理する。漁協の砥川ふ化場内に設備を整えている。
総代会後の取材に、藤森組合長は「新方式は成功している」と手応えを語り、定置網を用いた湖内捕獲にも力を入れる考えを強調。諏訪湖に流入する最大河川で、従事者の高齢化などで採卵を休止している上川での事業の継承も今後の課題とした。
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