諏訪市は、市文化センターの大規模改修に向けた実施設計に関わる補正予算案を市議会6月定例会に提出する方針を固め、20日の議会全員協議会に報告した。基本設計業務を3月末に終え、4月に市民報告会を実施。課題は残しつつも、広域避難所としての機能強化や利便性、快適性を高めるといった改修内容は「おおむね理解いただいた」と次段階に進む理由を述べた。課題の一つとしたステージへの反響板に関しては、音響調査で設置効果を検証する意向を明らかにした。
市民報告会などで出た意見を基に、市が課題(引き続き検討する事項)として整理したのは、39億4千万円とした事業費や改修後の維持費、反響板設置など。維持費の試算については「現時点では難しい」としつつ、引き続き検討すると説明。音響調査は専門業者に委託し、その結果から費用対効果を見極めて判断するとした。
日本画家の東山魁夷と杉山寧による緞帳は劣化が激しくオペラカーテンに切り替える方針だが、取り外した後の保存活用は引き続き検討し、今年度中の早い段階で方針を固めたいと報告。データによる記録保存も「緞帳を継承する方法の一つ」とした。改修後の管理運営やソフト事業を話し合う検討組織には、公募市民や高校生にも参画してもらい、実施設計に関連するハード面の意見も聴くとした。
市の細野浩一教育次長は全協で、音響調査や検討組織の立ち上げは「早急に行う」と説明。これらに関わる経費も補正予算案に盛り込む可能性を示唆した。「市民理解」に関しては「これまでも慎重に検討を積み重ね、説明会や報告会を行いながら基本設計を完了させた」とし、金子ゆかり市長も「引き続き丁寧に説明、報告を行いながら進めていく」と強調した。
市文化センター(国登録有形文化財)の大規模改修はJR上諏訪駅周辺の一体的整備事業の一つ。基本設計では集会室の増設や親子観劇室、リハーサル室、フリースペースの新設、耐震化や省エネ、バリアフリー化などを盛り込んだ。「市民への報告を終えてから」として、当初予算への実施設計委託費の計上は見送っていた。
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