町内会再編に伴い、全区民参加型の「新町名募集」を企画した第7区。増澤区長はこの機会に「若者にも地域のことを考えてほしい」と期待する

組織再編や役員削減見直し進む 下諏訪町の区や町内会

2024/05/07 06:01
社会

少子高齢化を背景とする区や町内会の役員の担い手不足が深刻さを増し、下諏訪町の区や町内会で組織の編成や運営方法の見直しが進んでいる。町内には計10の区があり、各区で町内会の再編や役員数の削減、行事の縮小などの改革に取り組む。一方で、役員からは「地域のつながりをどう確保していくか」「次世代に住みやすい地域を残したい」などの声も聞かれ、区や町内会が果たす本来の役割を見詰め直し、悩む姿も見られる。

 

 ◆町内会を再編「新町名」募る

 

第7区では、七つある町内会ごとに高齢化率や戸数に大きな差があり、それぞれに役員選出や災害時の避難体制に課題を抱える。「持続可能な町内会」をコンセプトに、昨年5月、再編専門部会を立ち上げて協議を開始。今年1月、部会の答申をもとにした再編計画が区民総会で9割以上の賛成をもって成立した。

 

再編計画では来年度から、町内会を七つから五つへ再編。具体的な組織体制を協議する再編作業部会が7日まで、「新町名」を約550軒から募集している。

 

応募の中から5案ほどにしぼり、区民投票を経て新町名を決定する。増澤正裕区長は「この機に若者にも地域のことを考えてほしい」と願う。「良き伝統は守り、機能不全に陥った組織、行事、風土は変えていきたい」と語る。

 

 ◆財政問題重点 団体統廃合も

 

第2区は昨年3月、区長の諮問機関として「第二区行財政検討委員会」を立ち上げた。同委員会は昨年、財政問題を重点的に検討し、区内の各種団体への補助金額などの見直しを答申。これを受け、区は経費削減の方針を決めた。同委員会は今年度も、町内会や班の再編、区長選出における町内会ごとの輪番制の廃止など、スリム化の検討を進めている。

 

第2区の町内会のうち、「小湯の上」は1月から、2部制から1部制に移行した。町内会長と副町内会長を各2人から各1人に減員し、新たに事務局1人を置いた。事務局は町内会長の負担軽減が目的で、任期は複数年。月2回の配布物の手配や公会所の管理、文書作成などを担う。今年度町内会長(事務局兼務)の伊藤賢一さんは「役員の負担軽減を基本としつつ、町内会の多世代が参画し、分担できる体制をつくっていけたら」とする。

 

第3区は昨年度、区内にある各種団体を、時代に即した団体への統廃合に着手した。これまでに区保健補導委員会を廃止したほか、区の小中学校PTAを青少年育成会に一元化。今年度も分館役員数の削減や、区自主防災会の組織強化に取り組んでいる。

 

区運営のデジタル化も推進している。コロナ禍の経験を踏まえ、オンライン会議や電子データの一元管理を実施中で、区の情報発信としては紙の回覧に加え、3区公式LINEを立ち上げ、定期的に情報を発信している。

 

 ◆災害時に一声掛ける関係を

 

町は月1回、区長会を町役場で開き、さまざまな課題を10区長と情報共有している。宮坂徹町長は区や町内会が自治組織であることを尊重した上で、「一緒に課題に取り組みたい」との姿勢を示す。自身が住む町内会の事例も挙げ、伝統的な行事に代わる、多世代が”集まる場”の模索を提案する。「『小さなコミュニティー』を大事に、災害時に一声掛ける人間関係を目指して地域の再編を進めてほしい」と述べた。

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