絶滅が危ぶまれるライチョウの保護活動を長年、取材してきた山岳ジャーナリストで元朝日新聞記者の近藤幸夫さん(64)=長野市=が、初の著書「ライチョウ、翔んだ。」を集英社インターナショナルから出版した。絶滅したはずの中央アルプスに突如現れた1羽の「飛来メス」から始まった群れの”復活作戦”。その全容に迫り、自然環境の悪化で危機的な状況にあるライチョウを救おうと奮闘する研究者の姿を描く。
◆開高健ノンフィクション賞最終候補
近藤さんは信州大学農学部卒。記者として南極やネパールも訪れ、山の話題を書き続けた。ライチョウとの関わりは県内で勤務していた2015年から。著書の主人公で環境省の保護事業を主導する鳥類学者、信大名誉教授の中村浩志さん(77)の生きざまに魅せられ、取材を重ねた。同行取材ではライチョウを探す調査員の役目まで求められた。
21年末には他県への異動を固辞。「新聞社の肩書きをなくしてもライチョウを追い続けたい。飛来メスと中村さんが紡ぐ奇跡の物語を見届けたい」。35年余り勤めた新聞社を早期退職までしてまとめた本作は、第21回開高健ノンフィクション賞で応募134編から最終候補5作品に選ばれた。「ライチョウが第二の人生の扉を開けた」
◆ライチョウ復活 立ちはだかる壁
ライチョウは、国の特別天然記念物で本州中部の高山帯にのみ生息する。テンやキツネといった天敵、気候変動などにより数を減らしているとされる。危機に気づいた中村さんが、この20年間ほどの調査で減少要因や生態を解明。保護の手法も確立した。中アに他から飛んできたと推定された飛来メスが18年に見つかり、復活作戦にたどり着く。
だが、ここでも壁が立ちはだかる。サルの襲来で繁殖に失敗し、動物園で増やしたライチョウを放鳥する野生復帰の試みも高山帯の特殊な環境で進化した故の課題に直面。悪天候も進展を阻んだ。「次に何が起きるか分からない。いつもハラハラドキドキ」。中村さんたちはその都度、驚きの方法で状況を打開した。
◆自然環境の悪化取材通じて痛感
作戦は初の野生復帰も果たし、生息数は100羽超に。原動力となってきたのは中村さんの並々ならぬ情熱だ。ライチョウを最優先に考え、雨風が吹きつける中でも作業をこなす。不手際をしたスタッフを怒鳴ることも。関係者との衝突も絶えない。普段は温和な研究者が現場では「四季に応じて羽の色を換えるライチョウのごとく豹変する」
取材を通じて痛感したのは、高山帯の自然環境が著しく悪化していることだった。「ライチョウを守ることが、中アの高山環境や日本の自然を守ることにもつながる」と近藤さん。「希少種のライチョウの復活作戦という壮大なチャレンジを、ぜひ地元の方にも知ってほしい」と話す。
四六判、288ページ。税込み2200円。
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