富士見町の井戸尻考古館建館50周年記念ミニ企画展「井戸尻考古館ができるまで」が同館で開かれている。考古学を愛好した地元住民の熱意で1974(昭和49)年4月30日に開館した井戸尻考古館の歴史を紹介する内容。貴重な土器や土偶をはじめ、同館用地となった「曽利遺跡」発掘時の調査報告書や各種図面などの資料を初公開する。6月30日まで。
富士見町では56(同31)年に「境史学会」が誕生。発足時に開いた記念講演会で、考古学者の藤森栄一氏=諏訪市出身=が聴講者へ遺跡発掘を勧めたことを契機に考古学への関心が高まり、発掘調査が盛んに行われた。これにより貴重な縄文土器が出土。一連の資料を保管展示する目的で、59(同34)年に当時の町役場境支所内に最初の考古館が開所した。
翌年から始まった曽利遺跡の発掘調査では、縄文中期の歴史的価値が高い土器などの遺物が大量に出土。境支所が手狭になる一方、建物の耐火性に対する課題もあり、現在の考古館建設に着手した。
企画展では、現考古館の用地となる曽利遺跡から出土した土器の実物、図面、写真をセットで展示する他、カエルの模様がある長野県宝の「深鉢型土器」なども展示する。
同館は今後、隣地への新館建設を計画する。企画展を担当する同館学芸員の副島蔵人さんは「企画展を通じ、考古館建設の経緯や発掘調査で発見された貴重な資料の内容を知っていただき、現在の館と新たな館を考えるきっかけにしてほしい」と呼び掛けている。
問い合わせは井戸尻考古館(電話0266・64・2044)へ。
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