小水力発電を主力事業とする三峰川電力の三峰川発電事業所(伊那市長谷)

三峰川電力を訪ねて ビジネス版長野環境人士

2024/04/03 06:05
地域 特集

再生可能エネルギーの重要性が世界的に高まっている。日本では火力発電に必要な化石燃料や原子力発電に使用するウランを輸入しており、エネルギー資源の約9割を海外に依存している。エネルギーの自給率向上が課題となっている。三峰川電力(東京都)は小水力発電という手段を用いてクリーンなエネルギーの創出と普及を目指している。拠点発電所がある伊那市長谷を訪ねた。

 

主な発電方法のうち、水力発電は国内の水資源を活用した発電方法で原料を輸入に頼らずに電気をつくることができる。化石燃料などの資源が乏しく、エネルギー自給率が低い日本にとって水力は貴重なエネルギー源だ。

 

中でも近年は大規模なダムを建設する水力発電に代わり、河川や農業用水を流れる水を直接、発電施設に取り込み、電力をつくる中小規模の小水力発電への注目が高まっている。急峻な地形の山間部が多く、水資源にも恵まれた日本には小水力発電の適地が多い。一方で水利権の調整など課題も多く、整備には高い経験値が求められる。

 

三峰川電力は1960年に会社を設立し、62年に伊那市長谷に建設した三峰川第一発電所の運用を開始。翌63年には第二発電所の運用を始めた。両発電所では発電用水は南アルプス仙丈ケ岳を源流とする三峰川本流と支流から取水し、落差を利用して第一発電所で2万3100キロワット、第二発電所で1万800キロワット計3万3900キロワットの発電を行っている。

 

同社は今後の目指す構想の一つにあるのが「エネルギーの地産地消」。伊那市に立地する三峰川発電事業所で発電された電気を市内に供給していきたい考えだ。伊那市だけでなく、宮城県、山形県から広島県まで24カ所で展開する小水力発電でも同様にエネルギーの地産地消を検討中。また、これまで培った知見を生かし、コンサルティングという形でも国内の小水力発電事業の発展を支えている。

小水力発電事業の将来性について語る三峰川電力三峰川発電事業所長の兼子孝広さん
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