2025年1月22日付

2025/01/22 08:00
八面観

山の神の例祭の取材に招いていただき、岡谷市山手町の岡谷総郷神社を訪れた。1月17日は諏訪地域各地で行われる祭りで、本紙にも毎年、数本の記事が掲載される。山の神様に何かしらの言葉を唱え、柳で作った弓で恵方に向かって矢を放つ儀式は各地区おおむね共通しているようだが、唱える文言は少しずつ違う▼岡谷総郷神社では「山の神様、三仙護王、シシッ、センマル」と唱えた。「イノシシやシカが千頭も捕れますように」と願う言葉だそうだが、本紙の記事によると諏訪市双葉ケ丘の山之上神社では「三千牛王」、下諏訪町第一区では「サンゼンゴオン」「シシ セン マルマル」と一部が異なる▼岡谷市内の各区誌をひも解くと、「しし千まる」「ししせいまらまら」「スッテンマルマル」などと少しずつ違っていて面白い。「サンゼンゴオン」は「三世御恩」で、前世、現世、来世の「三世」の恩恵への感謝と祈りとする記述もあった▼一方で弓矢については恵方ではなく四方に射るところ、神様に供えるだけで放たないところなどもあるものの、神様に奉納した後の弓矢を、他人が作ったものと交換する地区が多いのも興味深い▼弓矢を交換する理由を記した区誌は見当たらなかったが、祭りの意義は神様に祈るだけではない。地域の結束を強めることも重要な役割だ。弓矢を交換することにもそのような意味があったのではないだろうか。

続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。

日付で探す

<前次>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031