2025年1月5日付

2025/01/05 08:00
八面観

初売りの福袋を求めて祖父母がデパートに向かい、数日後に自分が出掛ける。お年玉を小さな財布に入れて。子どもの頃、新春の華やいだ雰囲気の店内を巡ると身も心も浮き浮きした▼岡谷育ちだからカネジョウと、イトーヨーカドーを核店舗とするララオカヤが本拠地だった。いまの仕事に就いてからも1月2日にはまるみつ百貨店(諏訪市)の初売りがあり、列をつくった人が続々と売り場に向かう様子を写真に収めた▼地方のデパート・百貨店は絶滅危惧種と言える。松本では13日にイトーヨーカドー南松本店が閉店する。2月末には松本パルコ、3月末には井上本店がその歴史に幕を閉じる。新春の風物詩の初売りも今年が最後だ▼イトーヨーカドー南松本店は1998年10月にオープン。既にジャスコ(当時)とダイエーの大型店がある中での船出で、ナンマツ周辺は激戦区となった。おととい巨大な立体駐車場に車を停めて売り場へ降りると、新春の紅白幕以上に「閉店売り尽くし」の垂れ幕やポップが目に付いてしんみりした▼パルコと井上は松本駅周辺に立地し、中心街の空洞化を懸念する声がある。駅周辺の再生は地方のどこもが抱える共通の課題。使い勝手を良くするとともに、買い物以外の訪れる目的を増やすことが必要だろう。諏訪市で駅周辺の未来を考えるワークショップが始まる。若い人からも多くの意見や提案が出ることを望む。

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