2024年12月10日付

2024/12/10 07:59
八面観

取材の用があって個人宅に電話をかけても一向に出ず、ようやくつながったと思いきや、「わたしゃ、よく分からん」でプツリ。以前なら「話もしないうちに」と困りもしたが、近ごろは安心が勝る▼固定電話にかかってくるのは業者の売り込みや機械音声のアンケートばかり。家事や仕事の手をわざわざ止めて出ても徒労感しかなく、詐欺の危険も潜む。挙げ句に強盗の下調べかも、との恐れが加わって今や気安く電話を受けるより出ないぐらい慎重な方がいい▼先日、家に「以前購入した布団の手入れサービス券をお届けします」と電話があった。業者が番号を知る由もないが布団ならば不審を抱きにくい。宛先住所を教えでもしていたらと思うと背筋が寒い。ついに電話機に「出るな」の張り紙。やれ何のための機械やら▼本当に必要があれば相手がやって来ると思うが、きょうびその訪問が怖い。ちまたではカメラ付きインターホンや感応式ライトなど防犯用設備が品薄になるほど売れて、警備会社への相談も急増している。不信と不安が先立って人付き合いは薄まり、狭まるばかり▼ただ、犯罪を避けるには頑丈な盾だけでは盤石といえない。顔や心が見えない相手には非情にもなる。警備のプロ、警察は「地域内の交流、あいさつが強い抑止力」と言う。詮索との誤解を恐れて気が引けていたお隣さんへ目配りが今は大切。寛容に補い合いたい。

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