工業展示会の「諏訪圏工業メッセ」が閉幕した。会場には地元の小学生らも訪れ、出展企業の最新技術を目の当たりにした。自分たちが使っている製品に技術が生かされていると知り、新鮮に映った子どもも多いだろう▼「大人世代がものづくりの楽しさ、仕事のやりがいなどを伝え、実体験の機会を提供することが重要」。公立諏訪東京理科大学(茅野市)の公立大学法人評価委員長の発言を17日付の小紙統合版が伝えた。背景には、ものづくりを志す子どもの減少への危機感がある。工学の基礎となる物理を高校で学ぶ環境が十分でなく、物理を学ぶ子どもの極端な減少が心配という▼こうした懸念の軽減に工業メッセの見学は絶好の場だ。10年近く前になるが当時の小学生は「注文に応えようと、失敗しても何度も挑戦していることがすごいと思った」と感想を話してくれた。多感なときの体験は大人になっても記憶として残るはず▼先日、諏訪市在住で明治大学名誉教授の伊藤光さんによる実験講演会を取材した。空気の流れを可視化する装置を自作して飛行機が浮く原理などを説明した伊藤さん。物腰は柔らかかったが、ものづくりに対する熱が伝わってきた▼「百聞は一見にしかず」。その際に伊藤さんが口にした言葉だ。諏訪も上伊那もものづくりに触れる場面は少なくないと思う。体験の場を継続的に設けることが将来の人材確保につながる。
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