諏訪湖畔にある諏訪市石彫公園で人形浄瑠璃文楽を上演するためのクラウドファンディング(CF)は、開始から半月で第1目標金額の300万円に達した。八重垣姫の恋物語「本朝廿四孝 奥庭狐火の段」を、物語の舞台・諏訪湖を背景に行う10月26日の無料公演が実現する。一般社団法人・大昔調査会と実行委員会は応援に感謝し、ドキュメンタリー映画を制作するための第2目標(500万円)の達成に向けて引き続き支援を求めている。
「奥庭狐火の段」は、武田信玄の息子勝頼に恋した上杉謙信の娘、八重垣姫(架空の人物)の物語。八重垣姫が諏訪法性の兜を手に、諏訪大明神が遣わした狐に導かれて凍った諏訪湖を渡る場面などがある。過去2年は岡谷市の照光寺で上演。「諏訪湖ゆかりの演目を諏訪湖で」と今月1日からCFを開始した。
一般市民や古典芸能、歴史文化に関心のある人など、県内外の幅広い世代が趣旨に賛同した。支援者は100人を超え、15日の時点で第1目標金額を達成。「とても粋な企画」「文楽を通じて諏訪に新しい風を吹かせて」などと多くの応援メッセージが寄せられた。返礼品には前日の10月25日に照光寺本堂で行う「十種香」の公演招待もある。
諏訪湖畔でのイベント「諏訪圏フォーラム」の一つのプログラムとして実施。八重垣姫の石像がある石彫公園に設けたステージで、人形遣いの吉田勘彌さん=兵庫県=らが人形を操る。CFは8月23日まで専門サイトの「レディーフォー」で行う。
大昔調査会の髙見俊樹理事長=諏訪市=は「不安の中で始動したが、メンバーの尽力もあり、多くの反響と支援が生まれた。念願がかなう」と深く感謝。「上質なドキュメンタリー映画を制作して世界に発信し、教育などでも活用していきたい。ネクストゴール(第2目標の達成)へ引き続き支援をお願いしたい」と話している。
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