棒をくわえてパソコンに文字を打ち込む「すわ湖のほとり」入所者の塚本さん

情報技術取得へ 障がい者雇用職業訓練 諏訪

2024/06/25 06:00
社会

諏訪市渋崎の障がい者支援施設「すわ湖のほとり」の入所者2人が5月から約3カ月間、障がい者雇用を目指す職業訓練「eラーニングコース」を同施設内でオンライン受講している。職業訓練校などへの通所が困難な障がい者がインターネットを介してプログラミングやホームページ制作などの情報技術を学ぶ公共職業訓練。就職に必要な知識や技術の習得を目指している。

 

受講しているのは、首から下を自由に動かすことのできない障がいがある塚本純子さん(43)と男性入所者(66)。同施設生活支援員の伊藤真由美さんが、2人に目標を持つことで生活の充実度を上げてもらおうと受講を持ち掛けて始まった。

 

訓練は国が行う「障がい者の多様なニーズに対応した訓練事業」を県松本技術専門学校=松本市=が民間の教育訓練機関などに委託して実施。1日5時間の訓練で面接対策やホームページづくりなどの実習に取り組む。

 

入所者たちは、手作りの棒を口でくわえてパソコンのキーボードを操作。男性は少し動く指で、トラックボールマウスを使い「夏らしい背景のデザイン」という課題の下、水色の背景に「デザインワークショップ参加者募集!!」の文字を配置した。同訓練を行うことについて「初めは自分がどこまでできるか分からず、続けられるか不安だった」といい「続けていくと、パソコン以外のさまざまな機械を使えばドラッグもクリックもできることが分かり、今は楽しい」と話す。

 

高校生のころからパソコンを使う練習をしている塚本純子さんは、画面に「おはようございます」や「宜しくお願いします」「塚本純子です」などと自己紹介文を手際良く入力。職業訓練について「正直苦しいけど、応援してくれたり手伝ってくれる人がいるから頑張れる。夢は、仕事をしてお金を稼いで一人暮らしをすること」と心境や目標について語った。

 

伊藤さんは「障がいが重く歩行などが困難な人が施設内で職業訓練を受けることはあまり見ない」とし「目標を持つことで生活の充実につながってほしい。障がいがあってもできることがあることを知ってほしい」と願っている。

続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。