木質バイオマス発電設備が設置される上伊那森林組合バイオマスエネルギー工場の一角=伊那市高遠町

伊那市 年度内にペレット工場発電設備整備へ

2024/06/08 06:00
社会

伊那市は7日、同市高遠町にある上伊那森林組合の木質ペレット(木質固形燃料)生産工場に導入する木質バイオマス発電設備の概要を発表した。燃料に流木などを活用して、試算では工場設備に関わる電力の約2割を賄う。再利用できる木は年間約620トン、二酸化炭素(CO2)の削減量は年間695トンを見込み、年度内に整備して来年度の稼働を目指す。同日の市議会全員協議会で報告した。

 

同組合の木質ペレットは地元の間伐材などを材料に使い、燃焼後の灰が少ないなどの特長がある。市は廃棄物(流木など)をペレット製造の燃料として活用することでCO2排出を削減するだけでなく、「エネルギー自給モデル」の先進事例として発信を図る。

 

燃料用の木は国土交通省が提供する美和ダム(同市)の流木をはじめ松枯れした木や立木、間伐材などを使用。美和ダムでは流木を年間200~300トン廃棄処理しているが、資源として利活用する。

 

市によると、国土交通省などから提供された木材をチップ化して乾燥後、発電設備の燃料に使用する。年間の発電量のうち約17万キロワット時をペレット生産設備で活用。稼働後は年間の電気料金(約1980万円)のうち367万円を削減できるという。

 

総事業費は約2億3000万円。国の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を活用し、市の負担は全体の3分の1ほど。発電量のうち年間約12万キロワット時は売電し、約100万円の収入を見込む。人件費やメンテナンス代などランニングコストに充てる。

 

発電設備は市が所有し、運営を同組合に3年間委託。その後は実績の検証を行った上で、同組合に貸与して継続運営を図りたい考えだ。

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