岡谷市の岡谷蚕糸博物館で、今年の干支である竜の紋様をそろえた収蔵品展「中国古代復元絹織物展」が開かれている。1998年に同館と学術協定を結んだ中国・蘇州絲綢博物館から提供された殷王朝(紀元前16~紀元前11世紀)から清王朝(17~20世紀)にかけての古代復元絹織物のうち、24点を展示。絹文化の歴史と高度な技術を紹介している。8月18日まで。
同館によると、中国では1950年代以降、古代遺跡から絹織物文化の歴史を裏付ける多くの出土品が発掘。蘇州絲綢博物館は絹織物の分析、復元研究に取り組み、高い評価を得ている。
竜の紋様があるのは11点。権力の象徴として使われた想像上の生き物で、古代中国では5本の爪、2本の角は皇帝のための文様と定められた。清王朝の第6代皇帝、乾隆帝が身にまとった黄色の衣装には、九つの竜紋が金糸の刺しゅうで表されている。
本展では、世界最古とされる文様のある絹織物として、殷代の「雷紋花綺」がある。縦糸と横糸を使い分けて雷の紋様を織り出すなど、約3000年前に高度な技術があったことがうかがえる。
会場では、身近な反物に使われた縁起の良い吉祥紋様を併せて紹介。夫婦円満の象徴とされるオシドリ、幸福を意味するコウモリ、高貴とされるハスの花などがある。
学芸員の森田聡美さん(37)は「悠久の歴史を持つシルク文化に触れながら、竜の表情を楽しんでほしい。絢爛豪華な絹に、想像上の生き物を描くわくわく感が衣装から伝わってくる」と話す。
関連イベントとして、5月26日に絹の糸を使って中国伝統のひも結びで房飾りを作るワークショップ、6月29日に学芸員による展示品の解説がある。
開館時間は午前9時~午後5時。水曜日と祝日の翌日は休館。一般510円、中高生310円、小学生160円。問い合わせは同館(電話0266・23・3489)へ。
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