飯島町と東京大学大学院農学生命科学研究科(東京都)、JA上伊那は10日、町内に広く生息する絶滅危惧種のチョウ「ミヤマシジミ」の保全などを進める相互連携協定を更新した。ミヤマシジミが町の宝になるよう、引き続いて自然環境の保全のために一層の連携・協力を図る。町役場で締結式があり、代表者が協定書に署名した。締結は4月1日付で、期間は2年間。
同研究科は2016年に町内でミヤマシジミの生態調査を開始し、翌年から信州そばの主要品種「信濃1号」の原種育成地である町内でソバの研究にも着手した。3者は18年にミヤマシジミとソバの研究を推進する連携協定を締結し、21年に更新。ミヤマシジミの保全を主とした豊かな自然環境づくりのため、調査・研究活動を進めている。
更新した協定には、▽ミヤマシジミの町条例制定や町のチョウとする検討▽保全区の設定を視野に入れた保全▽町、地権者、保全管理者との覚書▽持続可能な保全区の管理の検討―などを明記。生物の多様性を育む取り組みとして、保全のPRや小学校と連携した学習、住民意識の醸成などを掲げる。町や周辺地域の農業の発展も推進する。
同研究科生物多様性科学研究室の宮下直教授は「これまでの研究で予想以上の成果を上げることができた」と強調。「この2年間が保全の仕組みづくりの総仕上げ。自然と共生する社会づくりをさらに強化したい」と話した。
同JAの下島芳幸専務理事は「ミヤマシジミの保全を目標として進めば町の自然環境も守っていける」と期待し、唐澤隆町長は「ミヤマシジミを町のシンボルとして、生物の多様性を確保していきたい。まちづくりに生かす取り組みも進めたい」と述べた。
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