伊那北高校と伊那弥生ケ丘高校(ともに伊那市)を統合し、2028年度に開校する「伊那新校(仮称)」を巡り、伊那北校地に整備する新校舎の供用開始を開校の2年後とした県教育委員会の方針を受けて、上伊那広域連合連合長の白鳥孝伊那市長や上伊那地域の商工会議所会頭などは9日、県庁を訪れ、開校と同時に新校舎の供用を開始することなどを求める要望書を阿部守一知事と武田育夫教育長に提出した。武田教育長は工事期間を再検討していることを明らかにし、次回の懇話会で新たな指針を提示する考えを表明した。
県教委は伊那北と伊那弥生ケ丘を統合し、28年度に新校を開校する基本計画を22年2月に決定している。3月の第17回再編実施計画懇話会では、27年度の予定だった新校舎の建設完了を29年度末とし、新校舎の供用開始を新校開校の2年後とする方針を発表。また、工事期間中の新校生徒は伊那弥生ケ丘校地を使用する計画も示した。
要望書は、県教委の方針は懇話会の内容を十分に踏まえておらず、両校の生徒や新校の入学者への影響も考慮されていないとし、開校と同時に新校舎を使用できるよう再検討して統合がスムーズに運ぶよう求めた。さらに、新校における詳細な教育指針が示されていないことから、早期に指針を示して生徒や保護者、地域に情報発信することも要望した。
阿部知事は、県教委側の懇話会における意見を新校に反映する姿勢やスピード感に課題があると指摘。「地域の理解が得られないものは進められない。地域の声を受け止め、県教委と連携して新校の特色、強みを考えていく」と述べた。懇談後の取材に白鳥市長は前進回答があったと振り返り、「新校が子どもたちにとって夢や希望があるような教育の場となるよう、今後も丁寧に(県教委との)意見交換を進めていきたい」と語った。
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