駒ケ根市赤穂公民館と上伊那理科教育研究会の「バードウオッチング」が今年で第50回を迎えるのを記念して、上伊那や諏訪など南信地方で見られる野鳥たちをテーマにした「小鳥たちの写真展」が、同市上穂栄町の同館1階ギャラリースペースで開かれている。会場には、さまざまな野鳥たちが生き生きと躍動する姿や生態をリアルにとらえた作品が並び、写真を通じてバードウオッチングができる。5月10日まで。
同館のバードウオッチングは1970年代にスタート。毎年ゴールデンウィークに大沼湖周辺(駒ケ根高原)や丸塚公園(下平)などで開き、上伊那地方の小中学校の理科教員らを講師に野鳥観察を続けてきた。第50回となる今年のバードウオッチングも4月27日午前6時から、大沼湖周辺で行う予定(小雨決行)。
写真展は元教員で上伊那理科教育研究会の戸谷省吾さん(65)=伊那市境=がここ10年ほどの間に撮影した野鳥の写真を約70枚のパネルにまとめて展示。撮影地は上伊那地方と諏訪地方がほとんどで、山野、水辺、高山と生息地で3つに分けて、キビタキ、コゲラ、ミソサザイ、モズ、メジロ、ライチョウ、カイツブリなど約50種類の野鳥を紹介している。
40年以上野鳥を観察し撮影を続けてきた戸谷さんが、写真展の作品から選ぶ”この1枚”は、水浴びをしたあと苔で体を拭くメボソムシクイ(亜高山帯の針葉樹に繁殖する夏鳥)。八ケ岳山麓で撮影した写真で「鳥は体を乾かせるし苔は水分を得る。互恵関係と言える自然の中のささやかな営みだが、人間が学ぶべきことは多い」と戸谷さん。この時期に観察がしやすい野鳥としては、青い背と白い腹のコントラストが鮮やかなオオルリ(雄)を挙げた。
カメラの性能が向上したこともあって、以前に比べ野鳥の姿も撮りやすくなったと語る戸谷さん。気がかりは野鳥の生育環境の変化で、「天竜川によくいたヤマセミは最近姿を見なくなった。代わりにガビチョウ、ソウシチョウといった特定外来生物が増えている」と懸念する。
戸谷さんは「野鳥も人間も同じ”地球号”の中で支え合って生きている。そういう思いを忘れずに見てほしい」と呼びかけている。
観覧無料。開館時間は月~金曜が午前8時30分~午後10時、土曜日が午前8時30分~午後5時。問い合わせは同館(電話0265・83・4060)へ。
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