諏訪市は25日、飲料大手のサントリーグループ(本社・大阪市)とペットボトルのリサイクルに関わる協定を市役所で締結した。市内で回収した使用済みペットボトルの全てを新品に生まれ変わらせる「ボトルtoボトル」水平リサイクルの取り組み。脱炭素や資源循環型社会の実現に向けて4月から始める。グループは県内8市町村と同様の協定を結んでいるが、諏訪地域の自治体とは初めてだ。
国内での使用済みペットボトルのリサイクル比率は86・9%と高いが、多くは食品トレーや衣料品など。他の素材にリサイクルされると、再びペットボトルにするのが難しくなり、廃棄の可能性も生じてくるが、ボトルからボトルへの水平リサイクルであれば循環の輪が途切れない。新たな石油由来原料を使わず、二酸化炭素(CO2)を削減できる利点がある。
市は2022年3月、ゼロカーボンシティ宣言をし、行政、市民、事業者が一丸となった取り組みを推進。グループは全てのペットボトルについて、30年度までに化石由来原料の新規使用をゼロにする目標を掲げており、両者の方向性が一致した。
協定締結式で、金子ゆかり市長は「日本を代表する飲料メーカーであり、環境に対して先進的な取り組みをされている。ゼロカーボンシティ宣言をする市にとっても追い風になる」と感謝。使用済みペットボトルの行き先が分かることで、市民の意識が一層高まることにも期待した。
同グループサステナビリティ経営推進本部の北村暢康副本部長は、現在29%の「ボトルtoボトル」水平リサイクル率をさらに高めたいと意欲を示し、「弊社が製造販売する商品の容器となって資源が文字通り循環される。協定を機に諏訪市との連携を深めたい」と述べた。
諏訪市内で回収される使用済みペットボトルは年間約70トンで、500ミリリットル容器だと約350万本に再生できるという。協定に基づき、グループは市内小学校で出前授業を行う計画。市はラベルとキャップを外し、すすいでから出すというペットボトルの分別徹底を改めて呼び掛けていく。
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