伊那谷の小学校に赴任した校長先生が本紙のインタビューで「思いやり」の大切さを語っていた。信州教育の伝統なのだろうか。筆者が辰野町の小学校に入学した40年余り前にも「思いやりのある人になりましょう」と教えられた▼クラスはみんな仲良しで、泣いている子がいれば声を掛け、喜びも悲しみも分かち合う。若く情熱的な女の先生は筆者を級長に指名し、からかいや仲間外れがあれば原因と対策を何時間でも話し合った▼3年生になったある日、けんかをした数人が立たされた。「ごめんなさい」と言えば席に戻れるのに、Y君だけ謝らない。その態度をみんなが非難し、先生は泣かない彼を責め続けた。筆者はY君が戦う理由を知っていた。先生、思いやりが足りないのは僕たちです。その一言が言えなかった▼沖縄のシンガーソングライター佐渡山豊さんに「かけっこ」という歌がある。「スタートラインに立った時、仲良しケンボウ憎かった」。号砲から数年がたつのにかけっこは終わっていない、と続く。Y君は峠のカーブを曲がり切れず19歳で逝った。仲間が転んだらかけっこをやめ、手を差し伸べる勇気のある少年だった▼一人ひとりは優しいのに傷付け合う。多数派の正義が誰かを苦しめることもある。学校に息苦しさを感じる孤独な心には思いやりが必ず宿る。きょうは「こどもの日」。相手の立場で考え、認め合う日にしたい。
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